あの人の幸せを
Xの私へ向けた微笑みが
固くなった私の身体に届いて
空しく跳ね返っていった。
それほど悲しい光景なのに
Xのこころは
みじんも動かないふうだった。
例えば
他人の涙が決して染み込んでこない心とか
他人の痛みをイメージすることのない欠落した想像力とか
他人の視線が突き刺さらない強い肌とか
…そういうものを持った人のことを
「無邪気」というのか?
そうなんだろうか?
光を求めて火の中に飛び込んでしまう虫を
愚かで切ないと思うのと同じ気持ちで
私はXの姿を見ながら
涙が出そうになった。
そうして
家に向かう道を歩きながら
あの人はあの人の幸せを
育ててくれれば良いんだ
それでいいんだと
初めて思った。
固くなった私の身体に届いて
空しく跳ね返っていった。
それほど悲しい光景なのに
Xのこころは
みじんも動かないふうだった。
例えば
他人の涙が決して染み込んでこない心とか
他人の痛みをイメージすることのない欠落した想像力とか
他人の視線が突き刺さらない強い肌とか
…そういうものを持った人のことを
「無邪気」というのか?
そうなんだろうか?
光を求めて火の中に飛び込んでしまう虫を
愚かで切ないと思うのと同じ気持ちで
私はXの姿を見ながら
涙が出そうになった。
そうして
家に向かう道を歩きながら
あの人はあの人の幸せを
育ててくれれば良いんだ
それでいいんだと
初めて思った。
THEME:近親者による性虐待からの快復 | GENRE:心と身体 |