dark side of moon

SAの後遺症、OCDと共存しながら楽しく生きようと模索中

突然平和な空気を切るように
受話器からいつものように母親の声がして、
機関銃をぶっぱなしているみたいに
言いたいことだけ言って
「じゃ、ちょっと待ってね。」
で、姉に替わった。

私はすでに軽い動悸がしていたから
姉の声にも引き続きいらいらした。
そんな時に
姉の声の後ろでXが何かしゃべった。
あのバカズラが頭に浮かんだ。
息が苦しい。

おまえはしゃべるんじゃねぇよ。
おまえは二度と私の耳に入る場所で
声を出すんじゃねぇ。
いつも黙って聞いていた
意味のわからない言葉も色々あったけど
それは空想で補った

いつも黙って見ていた
人がこんな表情をするときはこういう気持ちなんだ
というようなことを覚えた

時々どうしても必要なことだけ
声を出して言ってみた
かぼそい声だったから
何度目かにやっと誰かが気づいた

一斉にみんなが私を見て
私の次の言葉に耳を澄ました

体がすくんで
消えてしまいたかった

私を放って置いて
ここにいないかのように
私を見ず
私を聞かず
私に気づかず

その願いが叶って
私は気配を消す特技を
身につけました

私は父に
『食わせてもらった』
けど

『育ててもらった』
んじゃない

ってことに
今日いまさら
気づいたんだけど

やっぱり
怒れない
悲しいのは悲しいんだけど
それはもう悲しいんだけど

怒れない