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moon

Author:moon
自己紹介

子どものころ性虐待を受けていました。
長い間、そのことを忘れたかのように普通に暮らしてきたのだけど、少しずつパンドラの箱を開けながら自分と向き合うことを始めています。
今はまだ途中ですが、さらに幸せになることを目指して明るい場所に向かって歩いて行こうと思っています。

はじめましてのご挨拶↓
http://moon5.blog41.fc2.com/blog-entry-185.html


私の生い立ちと長い自己紹介のサイトです。AC(アダルトチルドレン)についても試行錯誤した記録を残しています。↓
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dark side of moon

SAの後遺症、OCDと共存しながら楽しく生きようと模索中
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ムンクとの出会いのこと

ここのところちょっと重い話ばかりなので楽しかったことを書きます。
今、上野の東京都美術館でムンク展が開催されています。
先日ちょっと奮発して、プレミアムナイトチケットというのをゲットし行ってきました。

通常の開館時間が終わったあと、人数限定で18時から20時30分まで、ゆったりと見ることが出来て、豪華図録とポストカードのお土産がついて、あと、学芸員のレクチャーも受けられちゃうという大変素敵なチケットです。

夜の上野の美術館は、なかなか体験できないので新鮮でロマンチックでわくわくしました。

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生憎の雨でしたが素敵な夜となりました。

私がムンクと出会ったのは高校1年の頃だったと思います。
別のところにも書いた話ですが、そのころの美術の時間の「好きな油絵を模写する」という課題がきっかけです。
好きな絵で、描きたいと思えるもので、さらに私の画力で描けそうなもので・・・と考えると、なかなか思い浮かばず、学校の帰りになんとなく本屋さんで画集をパラパラとめくっていました。
そのときに釘付けになったのがムンクの『思春期』という絵です。

image.jpg




ムンク・・・?
どんな人なんだろう。
なんでこんな絵を描くんだろう。
私はなんでこの女の子がこれほどに気になるのだろう。
そう思ってその画集を買い、私はその絵を模写することにしました。

この画家の代表作が、あの『叫び』であることや、彼がどんな人生を送ったどんな画家だったのかをを知ったのは描き終えた少し後でした。
そしてそれらを知ってから私はますますムンクの世界に惹かれていきました。
『思春期』の少女が絵の中から訴えかけてくるものに金縛りのように釘付けになったのは、この画家の彼の抱えている恐怖や不安に、その頃の私が共鳴したからかのかもしれない・・・と今は客観的にそう思います。

今回のムンク展には、この絵は無く、メインは代表作の『叫び』です。
とても有名な絵です。
パロディにもなってしまうほどの有名な絵ですが、この夜私が一番釘付けになったのは
『病める子』という連作でした。
img_1.jpg

ムンクは幼い頃に母を亡くして以来一つ年上の姉をたいへん慕っていました。
その姉が15歳で結核で亡くなったときの絵です。
ムンクの心の中に潜んで彼を支配し苦しめ続け、けれども彼の芸術の原動力になった恐怖や不安は、この体験が決定的だった。
そのことが心底納得できるようなショッキングな絵でした。

なんだか結局また重い話になってしまいました(笑)

いろいろな思い出があるムンクなのですが、最近話題の『ボヘミアンラプソディー』という映画もまた学生の頃の懐かしい思い出と繋がっていて、あれこれ最近は一人同窓会みたいな気分に浸っております。。


あっち側の人

名称未設定-1
THEME:近親者による性虐待からの快復 | GENRE:心と身体 |

彼女のこと

ソファーでいつの間にか寝てしまった。
目が覚めたら静かな家の中はもう暗くなっていて、
一体今何時頃なんだろう…とまだ眠い頭の中でぼんやりと考えた。
ああ、洗濯物を取り込んでいなかった
…今日は雪がふるかも知れないと天気予報で聞いたのに
大丈夫かな…、起きなくちゃ…。
そう思いながら、また少しうとうとしてしまったのだろう。


夢の中で私は洗濯物を取り込みにベランダに出た。
少し雪がちらつき始めている。
抱えきれない少し湿った洗濯物を両手にいっぱい持って
部屋に運んでいるとお手伝いさんが手を貸してくれた。
すれ違ったとき、彼女のにおいがした。

足が悪い彼女は、ちょっともたもたしていて
急いでいる私は、…やれやれ、と思いながら
いつものように気持ちだけは有り難く思って苦笑した。
でも嬉しかった。
なんだかあたたかい気持ちになっていた。



目が覚めて、
彼女は今頃どうしているんだろう…とぼんやり考えていた。
まだ彼女のにおいがする。

そうだ、昔
私がこうして眠ってしまい目を覚ますと薄暗くなっていたとき
いつも無性に寂しくなって世界にひとり取り残されたような
気持ちになったとき
台所から彼女の物音がしてきたんだ。
そしてなにかご飯のおかずを作るにおいとか
ごそごそとゆっくり動きまわる彼女特有の気配に
私はいつも、
ああ大丈夫…私はひとり取り残されてなんかいない。
そう思って安心したんだ。

いつもそばにいてくれたのは彼女だった。
何か優しい言葉をかけてくれるわけでもなく
何か私を咎めるわけでもなく
ただいつもそこに
彼女がいてくれた。

ゆっくりとした時間の流れの中で
彼女のたてる物音と
私。

私たち。

私たちはいつも二人だった。

どうしているんだろう。
時々思い出す。
もう亡くなってしまったろうか。

彼女は今でも私を思い出してくれることがあって
そんな時にこうして夢に出てきてくれるのか。
そうだといいな。
私は一人ぼっちで取り残されたわけじゃない。
いまでもそう思えるから。


THEME:■アダルトチルドレン(AC)■ | GENRE:心と身体 |

恋人

彼の本棚に、ある本の名前を見つけたとき、
初めて見るそのタイトルに
私は理屈じゃなく怯えた。

悪魔が十字架を見たときのように
魔物が護符を見たときのように

私の身体の中の魔物は
彼に成敗される恐怖で震えていたようだ。


それはある高名な精神科医の書いた日本人論で
この国の精神構造を「甘え」をキーワードに分析した
その頃の話題の本だった。

それが多分
私達の小さな方向転換と
それにつづく第一歩だった。

私が彼から遠ざかりたいと願う理性と
寄り添いたいと切望する感情に
心を引き裂くようになる第一歩だった。

彼は自分と自分の周囲の依存的な甘えを排除し
シンプルになる作業を始め
ストイックになるあまりに自分を追いつめていた。
私はそんな彼についていこうとして強引に自分の心を封じ
結果、余計に彼にしがみついた。

でも、

きっと私達は同じ事をしていたんだ。
同じ意味のことを。

私の敵は彼ではなくて、
私と彼の共通の敵がいただけだった。

ただ、

彼はその事に気づいていて、
私はその事に気づいていなかった。

THEME:■アダルトチルドレン(AC)■ | GENRE:心と身体 |

13

いつも黙って聞いていた
意味のわからない言葉も色々あったけど
それは空想で補った

いつも黙って見ていた
人がこんな表情をするときはこういう気持ちなんだ
というようなことを覚えた

時々どうしても必要なことだけ
声を出して言ってみた
かぼそい声だったから
何度目かにやっと誰かが気づいた

一斉にみんなが私を見て
私の次の言葉に耳を澄ました

体がすくんで
消えてしまいたかった

私を放って置いて
ここにいないかのように
私を見ず
私を聞かず
私に気づかず

その願いが叶って
私は気配を消す特技を
身につけました
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